犬物語|ルーク 第2話(アンジュと一緒に)
ルークには、ちいさな妹ができました。
ふわふわで、よく動いて、よく笑う、ちいさな女の子。
「お兄ちゃんになる」というのは、
きっと誰にも教わることじゃなくて、
そばにいるうちに、自然と覚えていくものなんだと思います。
最初は怪獣のように元気だったルークが、
アンジュの前では、大きくて、優しくて、
まるで“背中で語るお兄ちゃん”みたいでした。
ふたりはいつも、同じ景色を見て、
同じ風のにおいを吸って、同じ時間を生きました。
にぎやかで、静かで、あたたかくて、
何気ない日々こそが、宝物だったのだと思います。
ルークは最初からお兄ちゃんだったわけではありません
アンジュを迎えることを決めたのは、
ルークが2歳をすぎた頃でした。
ルークはまだまだ“家の中心にいる末っ子”で、
毎日が全力で、思いきりで、生きる喜びそのもの。
そんなルークに、妹ができるなんて想像もしていませんでした。
でも、アンジュがやってきた日。
その心配は、あっけなく溶けていきました。

小さなアンジュを見た瞬間、
ルークは「誰これ?」ではなく、
「やっと来たね!」
という顔をしたんです。
距離を置くでもなく、
様子をうかがうでもなく、
まっすぐに、一直線に、好き好きの気持ちを伝えに行きました。
まるで最初から知っていたかのような表情で。
その時、私は思いました。
“あぁ、ルークは優しさをすでに持っていたんだ”と。
アンジュに教えてもらった「力の使い方」
とはいえ、体格も力も、もちろんルークの方がずっと大きい。
その差をどうするのかな、と見ていると…
不思議なことに、
ルークはアンジュの前では、自分の力をすっと抜くようになりました。
飛びつかない。
ぶつからない。
走り回りたい衝動を、少しだけ飲み込む。
それは「教えたから」ではなく、
アンジュが目の前にいるから、自然にそうなっていったように見えました。
お兄ちゃんになったんじゃなくて、
アンジュと出会って「お兄ちゃんにしてもらった」んだと思います。

ゆっくりと、家族は形になっていきました

最初から仲良しだった2頭。
でも、家族になるって、
「一緒にいる時間が積み重なっていくこと」なんだと思います。
並んで眠る日が来て、
散歩の歩調がそろう日が来て、
背中がふと触れ合うことが自然になる。
そんな小さな“当たり前”が、
大切な思い出に変わっていきました。
アンジュが来てから、
ルークはゆっくりと、やさしいお兄ちゃんへと育っていったのです。
次回は、アンジュの「はじめまして」
小さくて、まっしろで、
大きな瞳でまっすぐこちらを見つめてくれた子。
アンジュが家に来た日のことを、
次のお話で綴ります。
皆さんにも家族の”ほのぼの”エピソードはありますか?
ごきげんよう。


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